アポクリン腺の真実~ワキガ対策において絶対押さえておきたい基礎知識

人間の汗腺には「アポクリン腺」と「エクリン腺」の2種類があります。一般的に「ワキガ(腋臭)」と言われるものは、このアポクリン腺から出る汗の臭いが強いことを指します。医学的に「腋臭」という言葉はなく、臭いの強い方をそう呼んでいる一種の差別用語とも取れます。

なぜこんなふうに言われてしまうのかというと、そもそも日本人はアポクリン線が少ないため、「わきが臭がする」というだけでイレギュラーであるからです。

アポクリン腺とエクリン腺の違い

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エクリン腺 アポクリン線
分布 全身の皮膚に分布 脇、小鼻、外耳、へそ、性器、肛門、乳首など毛穴に分布
臭い 無臭 有臭
成分 水分:99%
塩分、ミネラル:1%
水分:70~80%
タンパク質・脂質・アンモニア・鉄分・糖質:20~30%
ph・液性 酸性 アルカリ性
無色透明 乳白色または黄色
感触 さらさら、ほぼ水 べたべた、油分感が強い
発汗の目的 ・温熱性発汗
・味覚性発汗
・精神性発汗
・精神性発汗
・フェロモン分泌
臭いの対処法 ナトリウム、カリウムなど服に付着すると臭いを伴う成分が含まれている。
衣類の洗濯や、こまめに体の汗を洗い流すことが大切。
イソプロピルメチルフェノールなど、ワキガ臭に科学的に効果が認められた成分を含んだ制汗剤を活用する。
精神性発汗による側面も強いため、自立神経を整えることも大切。

エクリン腺とアポクリン腺は「汗腺」という同じ分類ではあるものの、体が目的としている発汗の意図がまるで違うため、対処法は全く異なります。

アポクリン腺から出る汗の役割

アポクリン腺はどうして存在するの?
臭いだけなら無くてよくない?

そう感じる方も多いと思います。しかしアポクリン腺にはきちんと役割があります。

主な役割はフェロモンの分泌です。フェロモンは家族揃って同じニオイを発します。遺伝子でその種のニオイが決まっています。また動物は異なるフェロモンを好む本能が備わっています。同じニオイを感じる人と上手くいかないのも、このフェロモン(ニオイ)が原因です。

アポクリン腺の発育は性ホルモンに依存しています。思春期(12歳~17歳)は未完成のままで18歳を越えてくると完成されます。大人になって急にワキガになるのもこれが原因です。アポクリン腺からの分泌は月経周期と関連して、月経前期や妊娠期に活発になります。

アポクリン腺は誰にでもある

アポクリン腺は哺乳類の持つ芳香腺が退化したものです。犬が「犬臭い」と感じるのはこの芳香腺が影響しています。アポクリン腺はワキガの人だけにあるわけではありません。哺乳類であれば誰でも備わっている器官です。

「ワキガになっている人」とはアポクリン腺の数が多いか、アポクリン腺の粒が大きいかのどちらかです。どちらも混同している場合もあります。ワキガの対処方法も「分泌される量を抑える」「出る汗の質を変える」「アポクリン腺を除去する」の3つです。分泌される量を抑えることはクリームや制汗剤でも可能性ですが、他の2つは手術でしか対応できません。

エクリン腺について

エクリン腺から出る汗の成分

エクリン腺から出る汗は99%水のためほぼ無色です。アポクリン腺から出る汗のようにニオイの元となる成分はなく無臭です。

エクリン腺は唇と男性の性器(亀頭部分)など一部を除く全身に存在しており、1平方センチメートルあたり100個ほどあります。また、額・手の平・足底・ワキは他の部位の倍以上エクリン腺が集まっています。最も多いのが足底の1平方センチメートル当たり630個です。

エクリン腺の役割

エクリン腺の主な役割は「体温調節」です。人は運動時や高温の環境下で汗をかかないと熱中症になります。特に人は体温が40度を超えると細胞が機能しなくなり次々に破壊されていきます。エクリン腺から分泌される汗は体から蒸発する際に気化熱を奪い体温を下げます。人は体内の水分が2%以上失うと意識障害を起こすため水分補給も必要です。

アポクリン腺の量や大きさは遺伝する

結論から言うと、ワキガの両親から生まれた子供はワキガになる可能性があります。ワキガは優性遺伝なので遺伝力は大きいと言われています。

もちろん、ワキガでなかった人も食生活でワキガを伴うこともあります。日本はまだワキガの人口割合が少ないですが、欧米では実に人口の90%以上がワキガです。昔と比べて食文化が欧米化しているため、日本でもワキガ人口が増えているといいます。その分、日本人も欧米人のようにスタイルが良くなったり、胸が大きくなっているといいます。

アポクリン腺やワキガ、食の欧米化、その全てが悪いというものではないのです。